香りのメッカであるインドのカンノージ

香りのすゝめ公式
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みなさんは**「パフューム・ツーリズム」**という言葉を聴いたことはあるだろうか。

インドの香り高き地カンノージで始められた新しい体験型観光の形態で、プラナヴ・カプール氏が8世代に渡る香水製造の家系の伝統を活かし、香りの魅力を旅行客に体感してもらおうと企画したものだ。

2024 年 4 月 28 日、「Perfume tourism in Kannauj takes you through the origin of your signature scents / カンナウジでの香水ツーリズム」 と題した記事が投稿され、また新しいパフューム・ツーリズムの開始が紹介されている。

  • プラナヴ・カプール氏は8世代に渡るインドの香水製造の伝統を持つ。彼は昨年、香水の首都カンノージにおいて香りを体験するツアー**「パフューム・ツーリズム」**を始めた。
  • 旅行と香りは密接に関係しており、香りは旅先の記憶や感情を呼び起こす力がある。プラナヴ氏は、香りを体験するツアーを通して旅行者に独特の体験を提供することを目指している。
  • 香りは記憶の呼び起こす力があり、香水作りには芸術性と科学の両面がある。プラナヴ氏は自然素材の多様性と持続可能性の重要性を強調している。
  • カンノージでは花畑の散策、蒸留体験、香水作り体験、香りと味覚のペアリングメニューなどが体験できる。カンノージには古刹や市場など多くの隠れた魅力がある。
  • プラナヴ氏は今後5年間でインド国内の他の香り高い地域を含めた香りの体験ツアーを展開する計画がある。香りを活用した体験型ツーリズムの需要が高まっている。

カンノージと香りの歴史

カンノージはインド北部のウッタル・プラデーシュ州にある小さな町ですが、香りの町として古くから知られています。実はカンノージには600年以上もの歴史がある香水製造の伝統があり、「インドの香水の首都」と呼ばれています。

この地で最初に香水を製造したのは、16世紀にムガル帝国の宮廷への香りの供給を任されていた職人たちでした。彼らは周辺で採れる高品質のローズやジャスミンなどの香り高い花々から、蒸留によって香油を抽出する技術を確立しました。

この伝統的な香水製造技法は代々受け継がれ、現在もカンノージの香り職人たちによって守られています。蒸留所では今なお、ゆっくりと丁寧に香油を抽出する作業が行われています。香りの品質には妥協がなく、高い技術力が求められます。

カンノージ産の香油は国内外で高い評価を受け、世界中のブランド香水にも使用されています。西洋的な香水に加えて、インドの伝統的な「アターアル」という香水にも香油が使われ、カンノージの香りは宗教儀式や祝い事にも欠かせません。

このようにカンノージには600年を超える香りの歴史と伝統が息づいており、香り職人たちの卓越した技と香りへのこだわりが受け継がれています。香りの町として世界的にも名高いカンノージの存在は、香り文化の宝庫として重要な意味を持っています。

パフューム・ツーリズムの概要とその流れ

インド・カンノージではまず、ジャスミンやバラ、マリーゴールドなどの花畑を散策します。次に蒸留所を見学し、花から香油を抽出する伝統的な手法を間近で体験できます。そして最大の見どころが、香水作り体験です。様々な香油や植物エキスを使って、オリジナルの香水を自分で調香することができるのです。

さらに、7品のコースごとに香りと味覚がペアリングされた贅沢な食事も用意されています。一晩中香りに包まれるような特別な宿泊プランも人気です。

このように五感を使って香りを体感する過程で、香水の歴史や製造方法、香りの持つ力強い記憶の呼び起こす効果など、香りの世界を存分に味わえるのがパフューム・ツーリズムの魅力です。今後は他のインドの香り高い地域への展開も計画されているそうです。

伝統工芸と旅行体験を掛け合わせたこのユニークな試みが、香りへの新たな興味と理解を呼び起こしていくことでしょう。

他国におけるパフューム・ツーリズムの事例

インド以外の国でも、香りを体験するパフューム・ツーリズムが人気となってきています。

  • フランス:グラース地方は、世界的な香水の産地として知られています。サントリニでは、有名香水ブランドの工場見学や香りを学ぶワークショップなどがあり、香りの歴史に触れられます。また、プロヴァンス地方では、ラベンダー畑の散策やラベンダー製品の購入が楽しめます。
  • イタリア:カプリ島は、世界で最も古い香水の一つであるカプリ香水の発祥地です。島で香水作り体験をしたり、カプリ香水の歴史を学ぶことができます。また、トスカーナ地方のフィレンツェでは、香水や化粧品の歴史を紹介する博物館があります。 トルコ:イスタンブールには香辛料市場があり、東洋の香りに触れられます。また、伝統的な香水であるローズウォーターの製造過程を体験できるツアーもあります。
  • モロッコ:モロッコは"香りの国"と呼ばれ、アルガンオイルやオレンジの花の香水など、様々な香りの製品が生産されています。メクネスなどの都市では、香りの工房を訪れることができます。 このように、世界各地で香りに関連した観光が盛んになってきており、香りを通して各地の文化や歴史に触れられるのがパフューム・ツーリズムの魅力です。五感を使った体験型ツアーは、記憶に残る旅行体験につながります。